SFの名作にして一流のミステリ
星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン
今回取り上げるのは、SFミステリの傑作「星を継ぐもの」です。
ちょっと(かなり?)昔の作品ですが、見逃していた方はぜひ!
こんなひとにおススメ
- ミステリは好きだけど、SFはあまり読まない
- SFは好きだけど、ミステリはあまり読まない
SFもミステリもあまり興味がない、というひとには無理におススメはしません。
他にも面白い本はいろいろありますからね。
それではさっそくですが、内容の紹介に
え? SFもミステリも両方とも好きなひとにはおススメしないのかって?
大丈夫。そんな属性のひとには、おススメするまでもありません。有名な名作ですからすでに読んでいることでしょう。
でもでも、もしあなたが最近ミステリやSFが好きになったなどの理由で、まだ読んでいないという幸運の持ち主であれば、すぐに入手して今週末にでも読んでみることをおすすめします。
きっと充実した時間が過ごせることでしょう。
さて、前置きが長くなりましたが、どんなお話か軽く紹介します。
時は少し未来の地球、月面で真紅の宇宙服をまとった死体が発見される。
身元の調査が進められるが、世界のいかなる人間でもないことが判明。
そして、この死体は5万年以上前に死んでいたことが明らかになり・・・
さすがSFです。スケールが違います。犯人は誰だ?とかいうレベルではありません。
まず5万年前の月面に死体がある、という状況が謎です。
どう考えても5万年前の地球上に高度な文明があったとは考えられませんので、この死体は地球の人間ではありえない、という結論になります。
一方、この死体を詳細に調べた結果、人間と同じ祖先をもち、地球上で進化したとしか考えられず、宇宙人ではありえない、という結論になります。
地球人ではありえない一方、地球人でしかありえない。
矛盾ですね~。謎ですね~。
さらに調査を進めて死体が所持していた日記の解読も進んでいくのですが、そこで新たな事実が明らかになるたびに、また新たな矛盾が発生し、謎が増えていくのです。
ますます謎ですね~。
さらにさらに、宇宙船の残骸が発見されて・・・と盛り上がっていくのですが、これから読もうとしている方の楽しみを奪わないように、紹介はこのぐらいにしておきましょう。
とにかく終盤にかけて謎が謎を呼び、という状態で謎が深まっていくわけですが、最後に驚きの説明によって一気に謎が解明されます。
いや~、この驚きとすっきり感が素晴らしいですね!
そんなことが!そういうことだったのか!!と。脱帽です。
時間的にも空間的にも壮大な宇宙空間を舞台とした、珠玉のSFミステリです。
というわけで、興味を持たれた方にはぜひ一読をおススメします。
ちなみにこの1冊でも完結していて充分に楽しめますが、3部作として続編も出ていますので本作が気に入った方にはこちらもおススメです。
またSFに慣れていない方は、コミック版もありますので、こちらの方が分かりやすいかも。コミック版は、3部作の内容も含めて4巻セットになっています。
ただコミック版は読みやすい分、いろいろ省略されて短くまとめられている印象でした。
小説で読んだほうが、驚きと感動が大きいような気がします。(先に小説を読んで、結末を知っていたからかもしれませんが)
どちらを読んでも損はないと思いますので、お好みでどうぞ!!