七つの幻想的な物語。七つ目の謎に隠された真実が明らかになった時・・・
七つの海を照らす星/七河 迦南
この小説、しばらく前に買ったのですが、ずっと本棚にしまったままになっていたんですよね~。
ようやく最近読むことができたのですが、読んだ感想としては、思っていたよりも良かった! というか、すごく良かった!!
思っていたより? の内容については後ほど。
こんなひとにおススメ
- 幻想的な話が好きなひと
- ちょっと変わったミステリが好きなひと
まずこの小説は、七つの短編から構成されています。それぞれの話は独立していますが、児童養護施設である「七海学園」を舞台とした出来事であることは共通しています。
様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。
孤独な少女の心を支える「死から蘇った先輩」。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと「七人目」が囁く暗闇のトンネル・・・
過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。
正直、私はこの紹介文を読んでもピンとこなかったというか、あまり惹きつけられなかったんですよね。
確か何かのレビューで絶賛されていたのを見て購入したと思うのですが、なんとなくすぐに読む気にならずそのままになっていました。
というのも今まで読んできたミステリの多くは、密室殺人事件だったり、どんでん返しがあったりといった、まさに王道のミステリといった内容のものだったんですね。
ところが、どうやらこの本はそういう感じじゃなさそうだな~という印象があって、なかなか手が伸びませんでした。
まぁ、はっきり言ってあまり期待値が高くなかったんですよね。(七河迦南ファンの方、ゴメンナサイ)
実際この小説は、児童養護施設で起こるちょっと不思議な出来事、幻想的な出来事、それらを調べたり推理したりしていくという話です。
普通なら気のせいだったんじゃない?とか、何かの間違いだよとか言って片付けられてしまうようなことなのですが、実は・・・という謎解きですね。
確かにそれぞれの話は、序盤で出てきた伏線が最後に回収されてうまくまとまっており、意外と面白いな~とは思いましたが、それほどすごいとは思わなかったんですよ。
ところが。
ところがですよ。
七つ目の話でやってくれました。
え~っと、何というか、そこまで考えて書いていたんですね~。
期待値が低いとかいってすみませんでした~。
まあ、世界が180度ひっくり返るという感じではないのですが、世界が450度回転する、といった感じでしょうか?
何を言っているか判らないと思いますが、読めば判る(かもしれません)。
いや~、こういうタイプの本は新鮮でした。私は今まであまり読んだことの無いタイプのミステリでしたね。
逆に本格ミステリをそれほど読んでいない人の方が、こういったタイプの本は読みやすいのかもしれません。
第18回鮎川哲也賞受賞作だそうですが、全部読み終わったあとで納得しました。
いろいろ書いてきましたが、犯人を当てるとかスリルとサスペンスといった感じではないので、幻想的な雰囲気をゆったり楽しみながら最後に驚くことをおすすめします。